2016年「折り鶴ワークショップ」で長崎歴史文化博物館エントランスロビーの天井に設置された折り鶴群。


「RING ART・8+9 現代美術展~地域・国際・平和~2016」


 2015年の夏、私たちは「被爆70年を考える現代美術展」を長崎歴史文化博物館、活水学院、ピースミュージアムなど市内6会場で、地元作家ら100名を超える国内外の現代作家を迎え展覧会を開催しました。更に公開講座、ワークショップ、パフォーマンスなど、被爆地の平和のあり方を「現代美術」の表現を通して提示した。成果として地元はもとより他県から新聞社も取材に来崎し、アートの表現により平和への貢献が実証されました。

 今夏は、ポスト被爆70年の位置付けとして昨夏の経験を生かし、更にアートの表現で平和を祈念し、なおも苦しんでおられる被爆者やその犠牲になった方々へ、東日本大震災、熊本地震で被災された方々への励ましと鎮魂を込め、現代美術の多様な表現で本展を盛り上げます。

 この企画は、1つは、今年は福島復興5年目にあたり、アートの表現や「折り鶴ワークショップ」で福島と長崎を一段と結びつけます。3.11以降、長崎に福島の作家を長崎に招き、交流を深めてきました。特に福島の子どもたちが制作した「折り鶴」を、誓いの火灯火台に飾ります。こうした地道な取り組みは子どもらの夢(平和)を実らせつつあります。二つ目は、被災された熊本のアーティストたちの支援として長崎にお招きし、お互いのアートの表現により、少しでも元気付けることができればと願います。

 「被爆50年」、そして「70年」という節目に現代美術展を展開し、毎年平和展を継続しています。その根底には、RING ARTの使命として「地域・国際・平和」という3つのキーワードが基にあります。長崎になじみの少なかった「現代美術」を少しずつ地域に浸透させてきました。地元の方々もその意義に気付き始めており、一層本展を地元アーティストらと共に長崎の文化を高めたいと考えています。RING ARTRの持つ意味は、文字どおりその輪(和)を広げ、地域や平和への貢献を図るとともに、地域文化振興として、その活性化にもつなげることをモットーとして活動しています。

 今回の企画では、展覧会のほか、会場となる長崎歴史文化博物館において、子どもを対象としたワークショップ、また地域文化の活性化の企画プランニングを目差す人たちや学芸員等を対象にした現代美術講座を企画しました。

 8月9日の原爆の日、恒例となっている爆心地公園の誓いの火灯火台の下での「折り鶴パフォーマンス」に福島の子どもたちの折り鶴を飾ります。

 さらに、今夏のリオデジャネイロ・オリンピックの開催に合わせ、ブラジル作家と子どもたちの作品を展示します。現代美術の表現が平和のために、そして長崎においてなくてはならないことを提唱します。