「長崎大航海時代展(現代美術) 2013」

タイトル:長崎大航海時代展(現代美術)2013

会  期:2013年4月1日(月)~5月6日(月) 2013

時  間:(平日)8:30-22:00(土日祝日)10:00-18:00

     ※4月1日のみ8:30-17:00

会  場:長崎大学附属図書館ギャラリー

主   催:長崎大学附属図書館

事 務 局:長崎大学附属図書館 TEL:095-819-2192(担当:下田)

企   画:井川 惺亮

出 品 者:氏名・職場・留学先

  

     井川 惺亮  美術家(マルセイユ美術学校)                        

  川田泰子  出水市立米ノ津中学校・教諭(昌原大学校・昌原)

  野坂知布   長崎大学附属特別支援校・教諭(アリアンスフランセーズ・ツールーズ)

  波多野慎二 活水中高・教諭(慶北大学校・大邱)

  藤上  慶  下関市役所・職員(昌原大学校・昌原)

  藤崎宏治  青雲学園・教諭(昌原大学校・昌原)

  森永昌樹  佐賀県立有田工業高校・教諭(慶北大学校・大邱)

  守屋 聡  長崎県美術館・エデュケーター(慶北大学校・大邱)

   フランシスコ・ラランジョ(Francisco Laranjyo)ポルト大学美術学部長

 

館長メッセージ

 新図書館は大航海への船出です。長崎は、森崎を訪れたポルトガル船の西洋文化とともに拓かれました。出島は海と丘のクロスロードでした。長崎は、交易を通して東アジアの真珠でした。原爆で破壊された兵器工場の跡に建つ新図書館の周囲には、森崎に繁茂していた楠木が甦っています。新図書館は大学のオアシスです。この新図書館には世界知の遺伝子が凝縮されています。新しい旅立ちのために。

                                 (長崎大学附属図書館長 姫野 順一)

 

 Ⅰ タイトル名の意味

 タイトル名の長崎大航海時代は、本学の新しい文化発信として、出島から新生大航海時代が始まると言うのが大きな意味で、それをアートに託しています。またヨーロッパの大航海時代、出島を刺激しながら日本の良さを世界に知らししめたこともあり、出島の果した役割に倣って世界の出島を自覚しています。更に長崎大航海時代の文字の長崎大は長崎大学とも、そして航海はグローバル化を切り開き、大学の公開ともかけています。また時代は現代という同世代(コンテンポラリー)を含んでいます。

 もう一つ忘れてはならないのは、五島列島福江島の三井楽港です。かつて空海や最澄の僧侶らがここから海流に乗って命がけの渡中した寄泊港でした。それも長崎なのです。

 

Ⅱ 大学図書館のギャラリーの意義

 教会には例えばバチカンのシスティーナーの礼拝堂のミケランジェロの壁画が示すように、聖書は勿論ですが、それ以上にその教えを視覚的に絵画で壁面一杯に表しています。日本でも大陸の影響を受けお寺には例えば法隆寺の壁画や仏像や建築装飾などが示すように美術の存在が大きな役割を果たし、やがて大学の前身と言われる寺小屋などで学問を促進して行きました。その資料等をまとめたのが図書館だと言えます。

 図書館の本来は、このように大学の真髄に当たるもので、その中でも美術は重要な存在です。150年の歴史の本学は、初めてのギャラリー創設となります。大学としては時代遅れの観がありますが、それでも2013年の開廊となり、その意義は大学がグローバル化をスローガンとして語学を位置付けしながら、実はもっと大きな存在がアートであり、その中でもファインアートが重要な最前線の美を切り開く正に大学の創造力そのものです。

 

Ⅲ ギャラリーの持つ役割

 常に現代美術を基にしたファインアートを紹介し、その傍らで科学的な資料とともに共存しながら作品展を展開します。現状では、科学的な資料とは古書、古写真などや科学的な標本などを指します。

 

Ⅳ 出品者選出

 A:長崎は出島を通して世界の文化・科学を取り入れたばかりでなく、かつて三井楽港から僧侶らが海外に出向き、再び帰国し日本の文化向上に努力したことから、長崎大学関係者でファインアートの分野で留学経験をしたアーティストらに集まってもらい、これまでの長崎の持つ特有性をイメージした作品群を発表して、長崎大学から文化の要のファインアートを世界に向けて発信しようとするものです。

 オープンは長崎大学のシンボルマーク「帆船」が船出をするように、「海」のイメージからスタートさせました。

 

B:メンバーの構成は

 今回のギャラリーオープンスタートでは、大航海時代のイメージから、また三井楽港から出発した僧侶らに倣って、まず長崎大学からファインアートの勉学に海外留学した経験者を暫定的に集まってもらいました。

 

Ⅴ 展望

今後のギャラリーは、ファインアートと図書館資料展示とのコンビネーションで展開していくように望みます。今回は「海」でしたが、次は「陸」をテーマにするのもよいでしょう。

 

 


「春風ながさきよりⅩⅤ2013」

タイトル: 春風ながさきよりⅩⅤ 2013

期間: 2013325日(月)~330日(9:0020:00(最終日15:00まで)

会場:長崎ブリックホール2Fギャラリー

関連行事:ギャラリートーク・交流会 325日(月)14:00

主催:RING ART

共 催:長崎大学教育学部

後援:長崎県/長崎市/長崎県教育委員会/長崎市教育委員会/NBC長崎放送/NCC長崎文化放送/KTNテレビ長崎 /NHK長崎放送局/NIB長崎国際テレビ/長崎ケーブルメディア/長崎新聞社/朝日新聞社/西日本新聞社/毎日新聞社 /読売新聞西部本社/エフエム長崎

 

内  容:

 本展は、ブリックホール開館と同時に立ち上げ、今回で15回目を迎えます。本展は春風が北上して流れるように、長崎から文化の発信として美術を通して行ってきました。内容は表現者による作品研究発表会とし、また国内外の作家を長崎にお招きし、地元作家や市民らの美の研鑽の場ともしながら、ようやく定着をしてきました。(12回までは長崎大学井川研究室と長崎市との主催で実施。2年前井川教授退任後、13回からはRING ARTが引き継ぎました。)

 一昨年に実施した13回展は、大震災とそれに伴う原発トラブルが発生し、実施が危ぶまれましたが、このような事態こそ美術展開催で、特に被災者の皆様方勇気と希望を与えるものとなりました。更に国際作家が駆け付けてくれ、被災地の方々や皆様方と心を共有することが出来ました。特に長崎市と姉妹都市であると同時に出島時代からの交流のあったポルトガルのポルト市のアーティストをご招待しましたが、震災直後の当時は、外国人は原発の放射能を警戒し日本脱出やまた日本への入国自粛ムードが高まる中、ポルト大学美術学部のフランシスコ・ラランジョ教授はじめ、慶北大学校の朴南姫教授、昌原大学校の姜パルム教授らが勇気を持って来日され、私たち日本人にも希望や元気をいただきました。これこそ国際交流の意義を確認しアートの役割を見ました。これにより今までよりも一層助け合いの輪が広がり、美を表現することの有難さを改めて確認しました。

 また昨年の14回展では中国・武漢から2名の若い作家を招待しました。中国や韓国など領土問題などで揺れ動く両国間ですが、アートこそが文化的な交流を果たしながら相互理解を深めます。昨年には、長年交流を続けてきた韓国慶北大学校の朴南姫教授から本展を韓国で開催したいという依頼を受け、2月に同大学美術館主催で本展と同名の「春風ながさきより」を開催してくれ、国際的評価を与えてくれました。続いて今年3月には、ポルト大学のフランシスコ・ラランジョ教授からの依頼を受け「春風ながさきより(A Brisa da Primavera de Nagasaki 2013)」が企画されました。ポルト大学美術学部美術館において3月7日から28日まで開催中されました。

 15回展となる今回は、本学と協定校の韓国・昌原大学校から金弘震教授、ポルト大学美術学部よりグラシエラ・マシャード教授、国内からは現代美術家の福原金太郎氏を招待しました。

 本展の会場となるブリックホールのブリックは、レンガを積み重ねるという意味が込められ、同時に文化の発信拠点として位置付けられているとも言われています。そこで私たちもこのレンガに文化を重ね合わせ、長崎での美術活動が美の新たな地平を切り開き、また長崎を地域の活性化と共に国際的文化の交流の場を提供するように努めています。

 

追   記:先ごろご逝去された東松照明先生は私たちの活動のよき理解者であり心の支えでもありました。先生への敬意と感謝の意を込め、本展に東松先生から送られたメッセージを展示し追悼の意を表したいと一同願っています。

 

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