1998年に長崎市が「長崎ブリックホール」を文化の拠点・発信とブリックのように文化を積み重ねていくようにとの理念で建造しました。この施設には回廊ギャラリーが開設され、井川が長崎市文化振興美術展示運営委員として就任しました。この施設の活用をまかされた井川は、そのギャラリーで本展の第1回展を開催したのが始まりです。
「春風ながさきより」は、文字通り長崎から文化の発信を意味し、特に春風は、二通りの読みかがあります。一つ目は「シュンプウ」です。これは年の一番、最初に吹く神聖な風のことです。二つ目は「ハルカゼ」です。これは新緑の候に、南から北へ向かって吹くさわやかな季節風です。これら2つの風に乗せて、私たちのアートを長崎から北東に向けて発信させて行こうという思いからこのネーミングに至りました。
もう1つ忘れてはならいことは、長崎には江戸時代の鎖国となり、唯一世界の窓であった「出島」があります。長崎においてこの出島精神を現在に復活させ、世界との交流を深めて行こうとの思いがRING ARTに引き継がれています。
この出島は当時、最初にポルトガル人の居留地でした。現在はポルト市と長崎市は姉妹都市であり、また両国友好150周年の記念の年2010年にポルト大学と長崎大学は国際学術交流協定を締結しました。
RING ARTは2010年からポルト大学のフランシスコ・ラランジョ教授と交流を重ねてきました。
2011年、3・11 震災直後、本展開催時に来日が困難であったにもかかわらず、ポルトガルからフランシスコ・ラランジョ教授が来崎されました。さらに韓国からは朴南姫教授(慶北大)や姜パレム教授(昌原大)らも来崎されました。落ち込んでいる我が国の混乱の中において、美術を通して勇気や希望を共有することができました。そして、さらに交流の結束が深まることになりました。
その後、朴南姫教授より「春風ながさきより」を韓国での開催が発案され、2012年 2 月に本展と同タイトル「春風ながさきより」を慶北大学校美術館主催で開催されました。続いて翌年2013年3月には、フランシスコ・ラランジョ教授からもポルトガルでも「春風ながさきより(A Brisa da Primavera de Nagasaki 2013)」を提案され、ポルト大学ミュージアム主催で開催されました。さらに、翌年の2014年には、姜パレム教授から昌原大学校で企画展を提案され、「国際交流アートフェスティバル」への参加につながりました。これらの成果により RING ARTの活動は国際的な評価となりました。
振り返れば、「春風ながさきより」が長崎から韓国へ、そしてポルトガルへ、また、ポルトガルから韓国へ、そして韓国から長崎へと、反復しながら文化交流を促進しています。
このような流れの中に、2019年度は長崎市とポルト市が姉妹都市提携40周年を迎えました。この年は同時に、長崎ブリックホールは開館20周年の節目となる年でもあります。ブリックホール創設以来、ホール内のギャラリーで毎年欠かさずに「春風ながさきより」展を実施してきました。そして20周年の記念の節目、21回目となる「春風ながさきより」を開催しました。
春風ながさきよりⅩⅩⅢ 2021
2021年6月19日〜6月26日
長崎ブリックホール2Fギャラリー
※シンポジウムと講評会 6月20日
招待作家・講師:木嶋 正吾(多摩美術大学 教授)
長谷 光城(熊川宿若狭美術館 館長)
春風ながさきよりⅩⅩⅡ 2020
2020年9月20日〜9月26日
長崎ブリックホール2Fギャラリー
※ギャラリートーク:9月20日
特別出品
姜 バレム(昌原大学校名誉教授) フランシスコ・ラランジョ教授(ポルト大学教授)
金 在寛(シェーマ美術館館長) 洪 東植(釜慶大学校教授)
前田 信明(現代美術家) 長谷 光城(美術家・熊川宿若狭美術館館長)
「20周年 春風ながさきより ⅩⅩⅠ 2019・日葡韓中伯美術交流彩」
長崎市・ポルト市姉妹都市提携40周年・長崎ブリックホール開館20周年記念
〔会場1〕ナガサキピースミュージアム(長崎市松が枝町7-15 TEL 095-818-4247)
RING ART展
2019年2月26日~3月17日
フランシスコ・ラランジョ教授展
2019年3月19日~3月24日
〔会場2〕長崎ブリックホール・ギャラリー (長崎市茂里町2-38 TEL 095-842-2002)
2019年3月19日~3月23日
招待作家: Francisco Laranjo(フランシスコ・ラランジョ)教授(ポルト大学・ポルトガル)
姜 バレム教授(昌原大学校・韓国)
鐘 孺乾教授(中南民族大学・中国)
春風ながさきよりⅩⅩ
2018年1月21日ー27日
長崎ブリックホール
ギャラリートーク:1月21日・27日
招待作家:木嶋正吾(多摩美術大学教授)
春風ながさきよりⅩⅨ
2016年2月5日ー11日
長崎ブリックホール
ギャラリートーク:2月11日
特別出品:伊藤敬生(アートディレクター)
春風ながさきよりⅩⅧ
2016年2月22日ー27日
長崎ブリックホール
ギャラリートーク:2月27日
春風ながさきよりⅩⅦ RING ART&ASPECT
2015年3月22日ー28日
長崎県美術館 運河ギャラリー
ギャラリートーク:3月22日
招待作家:金 在寛(シェーマ美術館館長)
金 正喜(忠北大学校教授)
春風ながさきよりⅩⅥ
2014年1月19日ー25日
長崎ブリックホール
ギャラリートーク:1月19日
招待作家: 金 庚樹(昌原大学校芸術大学長)
朴 南姫(慶北大学校教授)
Francisco Laranjo(ポルト大学教授)
金 在寛(シェーマ美術館長)
春風ながさきよりⅩⅤ
2013年3月25日ー30日
長崎ブリックホール
ギャラリートーク:3月25日
招待作家:福原金太郎(現代美術家)
金 弘震(昌原大学校教授)
Graciela Machado(ポルト大学教授)